町医者だから言いたい! 《1905》 まだ認知されていない「在宅緩和ケア」
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朝日新聞デジタル(アピタル) 2015.07.13 UPDATE
(2015年7月9日 朝日新聞デジタル(アピタル)より) 昨日も一日中、何組かのご家族に麻薬の話をしていました。 緩和ケアに身を置いていることをあらためて認識しました。 がんが全身に転移した末期がんの患者さんの療養の場についての 話し合いがありました。 本人は最期まで自宅にいたいと明確に希望されています。 しかし家族の間では大きく意見が分かれています。 兄弟はホスピスへの入院を強く希望され、受診予約も取られているとのこと。 在宅でも緩和ケアができることを1時間かけて説明すると、納得されました。 しかしそれを聞いた遠くの長男が来て、大病院への入院を希望されました。 理由を聞くと、やはり痛みを心配してのことでした。 「自宅でも緩和ケアを受けられるのですよ。もうやっていますが」 私のこのひとことで、長男さんは激しく怒りはじめました。 自宅で緩和ケアなんて無理だ、と言い張るのです。
日本の在宅医療の普及はまだまだです。
望む人でもそのサービスを享受することができない人は多いと思います。
たとえば、私の実家でも妻の実家でも在宅医療は行われていないようです。
医療の基本的なインフラになっているとは言えない状況です。
今後の普及が急速に望まれるとは思います。
しかしあえて逆のコメントも加えておきます。
在宅医療推進の記事では、自宅最高!という論調になりがちです。
しかし現実は、厳しいものであると思います。
病院であれば、看護師など多くの人が医療的なことから日常的なことまで手厚くサポートしてくれます。
しかし自宅では、自分および家族がそれを中心的に担うことになります。
もちろん訪問看護や介護サービスなどサポートは得られる可能性はありますが、基本的には家族が中心的です。
核家族が進んでいる今日の日本で、家族にそのゆとりがあるといえる世帯がどれほどあるでしょうか。
介護者の燃え尽きも既に問題になっています。
国の在宅推進政策により、在宅医療を無理に押し付けられてしまう人が増えないことも注意されるべきと思います。
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たかはし
自分ならば、どう考えるのか
どちらを選ぶのか
状況によって選択は変わると思いますが、
家族のお世話になるのか、
他人のお世話になるのか、
どっちにしても、お荷物にはなりたくないなぁと、思ってしまいました
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