グラム染色こそ,抗菌薬適正使用の切り札
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医学書院 2016.02.03 UPDATE
(2016年2月1日 医学書院より) 現在,薬剤耐性菌は増加の一途をたどっています。 2014年に世界保健機関(WHO)は,「抗菌薬がない時代――ありふれた感染症や小さな外傷が命取りになり得る――が21世紀中に到来し得る」と警告しました。こうした中,「抗菌薬は必要なときのみに使用する」「ウイルス感染に抗菌薬は使用しない」といった声が世界中で挙がっているものの,これらの啓発が功を奏しているとは言いがたい実態があります。
"現在,薬剤耐性菌は増加の一途をたどっています。 2014年に世界保健機関(WHO)は,「抗菌薬がない時代――ありふれた感染症や小さな外傷が命取りになり得る――が21世紀中に到来し得る」と警告しました。こうした中,「抗菌薬は必要なときのみに使用する」「ウイルス感染に抗菌薬は使用しない」といった声が世界中で挙がっているものの,これらの啓発が功を奏しているとは言いがたい実態があります。"
既存の抗生物質が効かない「耐性菌」については、TVなど一般メディアでも取り上げられることが少なくありません。
一般の方も聞いたことがある話ではないでしょうか。
おそらくもっとも最初に人に利用され成果を上げたとされるであろう「ペニシリン」が発見され医療の現場で利用されるまでは、健康成人を含めて多くの人が感染症で死亡してきました。
現代の日本を含めた多くの国では、(小さな子供や老人を除けば)、普通は、感染症になっても医療機関に行き治療を受ければ、重症化したり間違っても死亡したりしない、と現代人は思ってしまうかもしれません(現実はそうでもないこともあるのですが・・)。
wikiによれば、ペニシリンが人に利用され始めたのは1942年ころです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%8B%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%B3
人が抗生物質の恩恵を受けているのは、まだ80年もたっていないのです。
意外と最近じゃないですか?
つまり、現在80歳以上の人が生まれた頃は、抗生物質なんてありませんでした(ついでに言えば、これも多くの日本人が当たり前に思っている国民皆保険制度もありませんでした=普通の人は「普通」には医療は受けることができませんでした)。
今の医療のやり方を続けてしまっては、抗生物質は、効かなくなり、100年前の感染症治療に逆戻りするかもしれません。
医療者が不適切に抗生物質を出すことを控えることはもちろん重要です。
それだけなく、一般の皆さんも、ぜひ考え直してください。
以下、若干愚痴っぽくなりますが・・・(苦笑)
外来などで患者さんやご家族と話をしていると、医者からすると(=医学的には)、不適切に医者に対して抗生物質(インフルエンザの薬も含めて!)を要求する方は少なくありません。
みなさんは、抗生物質をできるだけ出さないようにしている医者にあったことがあるでしょうか?
客観的なデータの無い個人的な経験での推測ですが、そういう「出し惜しみする」医者は、結構まれな存在だと思います。
どうかそういう医者の話を聞いてあげてください。
そういう医者は、決して、患者さんのことを考えていないとか、頭がおかしいとか、そうではないことが多いと思います。
抗生物質が効く社会を維持しようと必死なんだと思います。
また、体調が良くない時に、小難しい医者の話(説得?)を聞くのは大変とは思います。
ですので、元気なころから、抗生物質の利用の在り方について、かかりつけの医者や知り合いの医療者などに相談してみてください。
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