笹井浩行

東京都健康長寿医療センター研究所・主任研究員　博士（スポーツ医学）

1分間の激しい運動は、45分間の中等度運動と同じくらいの健康利益がある、との研究結果を紹介した記事。

この研究グループは、この分野で多くの業績を上げており、原典を読む限り、方法論もしっかりしています。

ただ「同じくらい健康状態が良くなる」と主張するような研究デザインにそもそも設計されていたわけではなく、研究終了後に同じような結果だったから、同等であることを主張しているのが少し残念なところです。

また、「1分間あれば十分な運動ができる」というタイトルはやや誤解を生みそうです。確かに、正味の運動時間は1日1分間なのですが、実際はウォームアップや運動間のリカバリ、クールダウンを含めると10分程度必要になります。今、1分くらい時間があるから取り組もう、といって取り組めるわけではないわけです。とはいえ、10分で終わるなら十分短いとは思います。

さらに、この運動は誰もが手軽に取り組める内容ではないことに留意が必要です。20秒間でオールアウト（それ以上動けないくらい疲労困憊まで追い込む）まで達する自転車運動を3回行うわけですから、はっきり申し上げて”吐き気を催すほど”キツイ運動であることは知っておくべきでしょう。この運動を継続するにはそれなりの覚悟が必要となりそうです。