認知症予防、「体動かすこと」が「筋肉量」より重要
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読売新聞 2016.07.03 UPDATE
老化による体の衰えは認知症のリスクを高めるとされるが、認知症の予防には、筋肉の量よりも、体をよく動かせるかどうかが重要だとする研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所の谷口優研究員らのグループがまとめた。
研究成果を適切に表現していない,少し誤解を生みそうなタイトルです.違いは僅かですが,”認知機能の低下予防,「体動かせること」が「筋肉量」より重要”のほうが適していたかもしれません.
まず,元となった研究では,医師による認知症の診断ではなく,何らかの認知機能スコアを用いていることです.これに基づいて「認知症予防」と表現するには違和感があります.認知症発症と認知機能低下には大きな隔たりがあります.
次に,身体機能(歩行速度と握力)は「体を動かすこと」ではなく「体を動かせること」です.確かに,体を動かすことで身体機能を維持・向上できるかもしれませんが,それは骨格筋量の維持に対しても同じことです.「体を動かすこと」という表現では身体活動を高く保つことのように誤解されかねません.もちろん,それも大事なことではありますが.
最後に,この研究成果が学会発表によるものなのか,学術論文によるものなのかが記載されていると良かったです.学会発表では専門家による審査(査読)を経ないことが多い一方で,学術論文ではそれを経ることが一般的です.学術論文のほうが情報の信頼性が高まります.その情報があれば,読者はより正しい判断が下せたでしょう.
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