ダイエットのためじゃない、命を救う「肥満手術」とは
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Mocosuku(もこすく) 2016.04.18 UPDATE
(2016年4月12日 Mocosuku(もこすく)より) 「肥満手術」というと、美容のために脂肪を吸引するといった内容を連想する人もいるかもしれません。 ここで取り上げる肥満手術はそれとは異なります。 肥満手術 (減量手術)とは、そのまま放置しておくと生命が危ぶまれるような病的な肥満に対して行うものです。
肥満外科手術,特に2014年にわが国でも保険適用となった腹腔鏡下スリーブ状胃切除術について,わかりやすく説明した記事です.
欧米諸国では,かなりの手術件数が蓄積され,高度肥満に対する標準的な治療法となりつつあるようです.実際,昨年11月に参加した北米肥満学会は米国肥満外科学会と共催されており,肥満外科手術に関する研究報告の数に圧倒されたほどです.肥満外科手術による死亡リスクの明らかな低減や,糖尿病の寛解に関する学術論文も多数報告されています.
わが国でも腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が2014年に保険適用となり,今後症例が蓄積されていくことと思います.日本人におけるこの治療の有効性が様々な角度から検証されていくでしょう.
肥満外科手術が高度肥満や合併症を伴う肥満(日本では肥満症と呼ぶ)に対する優れた治療法であることは疑いようの余地はありません.しかし,そのことが肥満改善の大原則である,食事や運動などの生活習慣改善の価値を下げるものではないと考えています.
まず,高度肥満者でも食事改善と運動実践で臨床的に意味のある水準で体重が減ることが報告されています.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20935337
また,肥満外科手術に臨む前には,食事制限により体脂肪をできるだけ減らすことで,術野を確保し手術の難易度を下げたり,術後の感染症リスクを下げることが期待されています.
さらに,手術後も体重が下がり続けるわけではないため,長期的に体重を減らし,管理するには,適量の食事と活動的な生活習慣が欠かせません.
高度肥満者には肥満外科手術は有効,でも同時に生活習慣もしっかり見直す必要はある,ということは強調しておきたいところです.
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