小4の1割、おじさん化?…肝機能・脂質に異常

出産・育児

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favicons?domain=www.yomiuri.co yomiDr(読売新聞) 2015.08.05 UPDATE

(2015年08月03日 yomiDr(読売新聞)より) 小学4年生を対象に、香川県が昨年行った血液検査で、肝機能、脂質、血糖値の異常値を示した子どもの割合が、それぞれ1割に上ることが分かった。  食生活や運動不足の影響が大きいとみられ、研究者は全国調査を求めている。

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坪谷透

東北大学大学院歯学研究科 助教、博士(医学)、医師

個人的には、医療行為は各種の危険を伴いますので、メリットがその危険(デメリット)を上回るときにのみ、正当化されるものと理解しております。

例えば、胃がんで手術をした方が、生存確率が高い場合は、おなかを切るという通常ならば傷害罪・殺人罪になる行為が正当化されます。

一方で、がんが全身に転移しており、手術をしてもメリットがほぼない、場合によっては手術をした方が死期を早める場合には、手術はしません。
(死期は早めるけどQOLをあげるから手術をすることもありますが、それは割愛)

さて今回のケース。

”調査は同県の17市町のうち、小学4年生の採血を行う16市町が対象。保護者が同意した8264人(全体の約96%)について、肝機能、脂質、血糖の検査値を集計した。肝機能は、肝臓の負担が増すと数値が上がるALTなど3項目を調べた。このうち一つでも異常値を示した割合は男子12・4%、女子9・5%だった。

 総コレステロールや、中性脂肪などの脂質が異常値となった子どもは男子10・2%、女子11・5%。高血糖状態が続いていることを示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の高値は、男子12%、女子10・9%だった。各検査項目の小児基準値は、国内の研究や医師の意見を基に、同県が設定した。”

書いてあるように、国際的・国内的な明確な効果が認められていない中で、香川県ほぼ全域のほぼすべての子どもに対して行われたと言ってもいいこの介入行為。

採血は立派な医療介入行為です。

まず痛いです。

嫌です(私も嫌です)。

必要ならやりますが、必要ないならやってほしくないのが、多くの人の意見でしょう。

これって本当に必要だったのでしょうか?

また10%が、肝臓の数値が~糖尿病の数値が~と書いてありますが、それでどうするのでしょうか?

まずその”診断”の基準が、本当にそれでよいのか、不明確です。

どのようなメインバーでどのような材料を根拠に決めたのかは、記事を読む限りではわかりませんが、記事によれば、国際的な合意がない基準であることは確からしいです。

なんでも早期に介入すれば効果があると多くの方は思うかもしれませんが、それはそうではありません。

効果が無いこともありますし、むしろ好ましくないことを発生させることもあります。

この場合の「効果」とは何でしょう?

肝臓や糖尿病の数値が改善することでしょうか?

しかし、現状で数値がちょっと高い子どもが、このままいくと本当に、将来悪化するかどうかは不明です(=効果はわかりません)。

「好ましくない事」とはなんでしょう?

まず、子どもの場合、ラベリング効果が大きい気がします。

本人にしてみれば「あぁ私は肝臓が悪い・糖尿病なんだ」とショックをうけるかもしれません。

しかし繰り返し述べるように、今回の基準は、国際的にも国内的にも合意がある基準ではないため、それは明らかに誤解です。

ですが10歳くらいのことどもがそのような複雑なことを理解することは期待できないのではないでしょうか。

また、そのような子ども(しかも全体の10%!?)は、おそらく、小児科などの医療機関に通院することになるのでしょう。

いままで医療機関に通っていなかった子ども・親にとっては明らかに負担が増します。

部活や習い事に支障が出る人もいるでしょう。

また、基準がないので、その病気と「診断」された子どもがに対する、一般的な対応(ガイドライン)はないでしょう。

よって対応は、受診した先の医師の裁量によります。

「いや、これくらいはなんともないから」という医師もいそうです。

となると、その子どもや親としては、なぜ受診する必要があったのかということがわからないでしょう。

積極的に「食事を制限して運動しましょう!」と言ってくる医師もいるかもしれません。

恐らくそれは間違った方向にはいかないのでしょうけど、特に根拠は無いアドバイスですし、多くの場合、そんなことは医師に言われなくても現代の人は理解しているでしょう。

そして医師が言うことで、突然子どものライフスタイルが変わるほど、子どもライフスタイルは簡単ではないと思います。

繰り返すように、その医療行為で、効果が明らかにあることが証明されているのであれば、このような「負担」も行う価値があるのでしょうけど、その効果は不明です。


発生しうる負の効果は、医療に留まらないと思います。

子どもの場合は、「いじめ」の問題は大きそうです。

「あいつメタボだってよー、デーブデーブ」

とか

「おまえは糖尿病なんだから、給食食べるなよ」

とか、その類の「いじめ」が発生しそうなことは、日本人の多くが想像できることではないでしょうか。

もしこれが起これば、実施者(香川県?)は、どのように説明するのでしょうか?

そのような「いじめ」が発生してでも、子どもの健康を守ることは正当化される?(わけないですね)


日本人は、日本社会は、医療行為・介入を正当化しすぎだと感じます。

採血、レントゲン、CT,MRI、PET、エコー、果ては「念のために」カテーテル検査・・・・。

これらの、医療行為・介入は、全て患者(受診者)の負担を必ず伴います。

「負担」とは、痛い、時間がかかる、お金がかかる、心配になる(増える)、病気というラベルをはられる、通院する必要が発生する、薬を飲むようになる、手術を受けるかも? など挙げればきりがありません。

個人的には医療費の議論はあまり好きではありませんが、医療介入は、マクロ経済的にも医療費は確実に増えます(医療行為の介入で医療費が減ることは現在ではないのではないでしょうか)。

このような「負担」があるので、医療行為・介入は必要最小限にとどめられるべきだと考えます。

それを明らかにしていくために、世界中・日本中の研究者が毎日研究しています。

ごく一部の為政者・研究者(?)などの意思・判断だけで、介入が正当化されることは私にはちょっと理解できません。

この件についての行方(いじめ含めて)がとても気になります・心配です。

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